調剤薬局の経営改善計画をどう見るか―収益改善・人員体制・返済力から見る判断ポイント

2026/5/28 14:22

報酬改定と収益計画

調剤薬局

MKマネジメント|認定経営革新等支援機関(ID:109627000610)


調剤薬局から返済条件の変更を求められ、経営改善計画が提出されたとします。

計画には、3年後の黒字化、人件費の削減、派遣薬剤師の縮小、在宅業務の拡大、加算取得、不採算店舗の改善など、複数の施策が並んでいるかもしれません。

しかし、金融機関が確認したいのは、計画上の損益計算書を黒字にできるかだけではありません。

その改善策を実際に実行でき、継続的にキャッシュフローを生み、無理なく返済を続けられる経営へ戻れるかが重要です。

金融庁が2026年に公表した事業性融資に関する基本的な考え方では、融資審査において事業の実態や将来性を理解し、将来キャッシュフローの見通しと不確実性を踏まえて返済可能性を評価することが示されています。また、事業者とのコミュニケーションを通じて、予定する行動が将来の事業見通しにどのようにつながるのか、想定どおりに進まない場合にどのような備えがあるのかを把握する考え方も示されています。

金融庁「事業者と金融機関の信頼関係に基づく事業性融資に関する基本的な考え方」

調剤薬局では、公定価格、人員配置、薬剤師採用、医薬品在庫、店舗別採算、在宅、調剤報酬上の加算など、一般企業とは異なる要素が計画の実現可能性に影響します。

本記事では、調剤薬局の経営改善計画について、詳細なPL作成手順や内部の分析ロジックではなく、金融機関が返済力を評価する際に確認したいポイントを整理します。


結論|経営改善計画のゴールは黒字化ではなく返済を続けられる経営への回復

調剤薬局の経営改善計画を見る際は、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

なぜ返済が難しくなったのか

その原因に対する改善策になっているか

改善策を人員・資金面から実行できるか

改善効果は一時的ではなく継続するか

計画が下振れしても資金繰りを維持できるか

返済再開後も必要な現預金を確保できるか

PL上で営業利益が黒字になっていても、医薬品在庫が増える、設備更新が必要になる、採用費が発生する、リースや借入元金の支払を再開するといった資金支出を織り込むと、手元資金が不足する場合があります。

反対に、現時点では赤字でも、窮境原因が明確で、改善策に具体性があり、段階的にキャッシュフローを回復できる計画であれば、金融支援を検討する材料になります。

経営改善計画で見るべきなのは、PLの見栄えではなく、改善の再現性と返済力です。

金融機関向けに特に重要な確認ポイントをまとめると、次のとおりです。

確認領域

主な確認ポイント

窮境原因

なぜ返済困難になったのか。一時要因か構造要因か

売上計画

処方箋、在宅、加算等の増収に具体的根拠があるか

人員体制

人件費削減後も計画を実行できるか

店舗別採算

赤字店舗や本部負担が全社数値に隠れていないか

在庫・運転資金

PL改善と資金繰り改善を混同していないか

正常収益力

一時的な利益と継続利益を分けているか

下振れ耐性

採用遅延、売上未達等でも資金繰りを維持できるか

返済力

返済再開後も事業継続に必要な現預金を残せるか


1.まず確認したいのは、返済が難しくなった原因

経営改善計画の妥当性を判断するには、改善後の数字を見る前に、業績悪化や資金繰り悪化の原因を整理する必要があります。

原因と改善策がつながっていなければ、数値計画が成立していても経営改善にはつながりません。

調剤薬局で起こりやすい窮境原因

調剤薬局で返済力が低下する背景には、次のような要因があります。

処方箋枚数の減少

門前医療機関の患者減少、診療体制の変更、医師の高齢化、競合薬局の出店などによって、処方箋枚数が徐々に減少するケースです。

店舗の費用構造が変わらないまま処方箋枚数だけが減れば、技術料収入等が落ち、人件費や賃料などの固定的な費用負担が重くなります。

特に、特定の医療機関への依存度が高い店舗では、薬局側の営業努力だけでは売上を回復できない場合があります。

薬剤師不足による費用増加

常勤薬剤師が退職し、派遣薬剤師を長期間利用している、欠員を時間外労働で補っている、人材紹介会社を繰り返し利用しているといったケースです。

PL上は人件費の増加として現れますが、背景にあるのは採用・定着の問題です。

派遣費を削減するだけではなく、なぜ常勤採用が成立しないのか、なぜ離職が続くのかまで確認しなければ、改善効果は継続しません。

不採算店舗の継続

複数店舗を運営する企業では、黒字店舗の利益で赤字店舗を補填している場合があります。

全社PLだけを見ると一定の利益が出ていても、店舗別に見ると一部店舗が継続的にキャッシュを消費していることがあります。

赤字店舗が戦略的に必要なのか、改善余地があるのか、統廃合を検討すべきなのかによって、経営改善の方向性は変わります。

在庫・運転資金の増加

高額薬の取扱い増加、長期処方への対応、採用品目の増加などによって、在庫金額が増えることがあります。

在庫はPL上の費用とは異なるため、損益が改善していても資金繰りが悪化する場合があります。

また、医薬品仕入の支払条件と調剤報酬の入金時期の関係によっては、売上が増えるほど一時的に運転資金需要が増えることもあります。

新規出店・M&A後の借入負担

将来成長を見込んで新規出店やM&Aを行ったものの、想定どおり処方箋が増えない、採用費が想定以上にかかる、PMIが進まず人員が離脱するなどの理由で、借入負担だけが先に残るケースです。

この場合、既存事業の収益力が悪いのか、投資後の立上がりが遅れているのかを分けて考える必要があります。

本部固定費の先行

店舗数に対して本部人員、システム、管理部門費等が大きすぎる場合もあります。

特に、将来の多店舗展開を前提に先に本部体制を整えたものの、店舗数が予定どおり増えなかった場合には、各店舗の利益を本部費が圧迫します。

一時要因と構造要因を分ける

例えば、一時的な設備修繕、突発的な退職による数か月間の派遣費、単年度の採用費増加などは、翌年度には解消する可能性があります。

一方で、

  • 処方箋枚数が数年連続で減っている

  • 毎年薬剤師が退職している

  • 赤字店舗を長期間維持している

  • 借入残高に対して本業のキャッシュ創出力が弱い

といった状態は、構造的な問題です。

一時要因を除けば黒字になる企業と、本業自体が返済に必要なキャッシュを生み出せていない企業では、必要な金融支援も改善策も異なります。

経営改善計画に書かれた施策を見る前に、

今回の返済困難は、何が原因で発生したのか

を経営者と共有できているかが最初のポイントです。


返済困難の状態は大きく5つに分けて考える

調剤薬局のリスケ案件は、すべて同じ原因で起きているわけではありません。

金融機関が計画を読む際は、まずどのタイプに近いのかを整理すると、その後の確認ポイントが見えやすくなります。

パターン1|本業は利益が出ているが借入負担が大きい

既存店舗は一定の利益を出しているものの、新規出店やM&A等で借入金が増え、元金返済がキャッシュフローを上回っているケースです。

この場合、営業構造そのものを大きく変えるより、

  • 投資後の収益立上がり

  • 借入返済条件

  • 不要資産・遊休資産

  • 追加投資の抑制

  • 正常な返済力の回復時期

などが重要になります。

本業収益が安定しているのであれば、過度な人員削減によって収益基盤を壊さないことも重要です。

パターン2|一部店舗が全社利益を圧迫している

黒字店舗はあるものの、一部の不採算店舗によって全社の利益が低下しているケースです。

この場合、全社の売上高・営業利益だけを見ても原因をつかみにくくなります。

問題店舗について、

  • 売上不足

  • 人員過多

  • 賃料負担

  • 門前医療機関の変化

  • 競合環境

  • 改善余地

などを確認し、残す・改善する・統廃合するという選択肢を検討する必要があります。

パターン3|人員不足が高コスト化している

薬剤師不足により、

  • 派遣薬剤師への依存

  • 残業増加

  • 紹介会社への支払増加

  • 店舗間応援の常態化

  • 管理薬剤師への過度な負担

が発生しているケースです。

この場合、表面的には人件費率が高いように見えますが、単純な人員削減は逆効果になり得ます。

採用と定着の改善が進まなければ、派遣費等を削減する計画は実現しません。

パターン4|成長投資の立上がりが遅れている

在宅業務、新規店舗、M&A、面対応などへ先行投資したものの、売上の立上がりが計画より遅れているケースです。

投資そのものが失敗なのか、立上がりが遅れているだけなのかで判断は異なります。

患者獲得、人員確保、連携先開拓など、計画達成までの具体的な進捗を見る必要があります。

パターン5|本業の収益構造そのものが弱っている

処方箋枚数が長期的に減少している、複数店舗で赤字が続いている、費用削減だけでは返済力を回復できないなど、本業の構造的な問題があるケースです。

この場合は、既存事業を維持したまま返済条件だけを変更しても、再び資金繰りが悪化する可能性があります。

店舗再編、事業ポートフォリオ、M&A・事業譲渡を含めて、より大きな選択肢を検討する必要がある場合もあります。


2.調剤薬局のPLは一般企業と同じ感覚だけでは読みづらい

調剤薬局の経営改善計画では、業界特有の収益構造をある程度理解しておくと、数字の意味が読みやすくなります。

ただし、全国平均を個別企業の適正値として使用することには注意が必要です。

調剤医療費は技術料と薬剤料の構成が異なる

厚生労働省の令和6年度調剤医療費の集計では、処方箋1枚当たり調剤医療費は9,372円で、そのうち技術料が2,594円、薬剤料が6,760円、特定保険医療材料料が18円でした。

厚生労働省「令和6年度 調剤医療費(電算処理分)の動向」

薬剤料は金額構成が大きい一方、その多くは医薬品の仕入に対応するため、売上高だけを見ても薬局の付加価値や返済力は把握できません。

また、処方する薬剤や患者構成によって処方箋1枚当たり金額は変わります。

そのため、

売上が前年より増えているから収益力が改善している

とは限りません。

高額薬の処方が増え、薬剤料と仕入が同時に増えた結果、売上だけが大きくなっている可能性もあります。

公的な平均値は比較材料であって審査基準ではない

第25回医療経済実態調査では、法人保険薬局の損益差額率は4.9%で、同一グループの店舗数別では2~5店舗が3.2%、6~19店舗が7.6%、20~49店舗が10.2%など差があります。

厚生労働省「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告」

この数字を見て、

  • 5%を下回れば問題

  • 5%を上回れば安全

と判断することはできません。

地域、処方内容、店舗形態、在宅比率、本部機能、役員報酬、賃料などによって費用構造が異なるためです。

公的統計は、

自社の数字に違和感がないかを考えるための参考資料

として利用する方が適切です。

調剤薬局で確認したいPLの主な項目

金融機関向けには、詳細な科目分析より、次のような変化を確認することが重要です。

項目

主な確認内容

保険調剤収益

処方箋枚数と収入単価の変化

技術料

加算、在宅、算定内容の変化

薬剤関連

処方内容、高額薬、仕入負担

介護・在宅

継続可能な収益か、追加費用を伴うか

人件費

人員数、派遣、採用、時間外の変化

店舗費

賃料、システム、リース等

本部費

店舗規模に対して過大でないか

営業外費用

支払利息等の借入負担

数字の大小だけではなく、前年からなぜ変化したのかを確認します。


3.PLだけでなくBSとキャッシュフローを見る理由

経営改善計画で特に注意したいのが、PL上の改善と資金繰りの改善を同じものとして扱わないことです。

在庫が増えれば利益が出ていても現金が減ることがある

医薬品在庫は、仕入時点ですべてがPL上の費用になるわけではありません。

そのため、在庫が積み上がっている企業では、利益が出ているように見えても現金が減少することがあります。

調剤薬局では、

  • 高額薬を採用した

  • 採用品目が増えた

  • 不動在庫が多い

  • 店舗ごとに在庫を抱えている

  • 店舗間の在庫移動が十分でない

といった事情によって、運転資金が増える場合があります。

調剤報酬の未収入金と仕入支払

売上が計上される時期と、実際に調剤報酬が入金される時期には差があります。

一方、医薬品仕入代金、給与、家賃等は継続的に支払う必要があります。

急速に事業を拡大する場合には、利益以上に運転資金需要が増える可能性があります。

設備更新も止め続けることはできない

経営改善計画では、設備投資を抑えることで短期的にキャッシュを残すことはできます。

しかし、

  • 調剤機器

  • 分包機

  • 電子薬歴

  • PC・ネットワーク

  • 車両

  • 店舗設備

など、事業継続に必要な更新を長期間ゼロにすることは難しい場合があります。

計画上のキャッシュフローが、必要な更新投資を過度に先送りしていないかも確認したいところです。

借入返済後の現預金

経営改善計画の最終目的は、可能な限り多く返済することではありません。

返済した結果、翌月の給与や仕入代金を払えなくなれば、事業継続できません。

返済再開後にも、事業運営に必要な現預金を維持できるかを見る必要があります。


4.売上改善計画は増加率ではなく増える理由を確認する

経営改善計画では、将来の売上高が右肩上がりに設定されていることがあります。

しかし、単純に毎年2%増、3%増としているだけでは、計画の実現可能性は分かりません。

調剤薬局の場合、売上改善の要因を具体的に分けて確認します。

処方箋枚数の回復

既存店舗で処方箋枚数を増やす計画の場合、

  • 過去数年の処方箋推移

  • 門前医療機関の患者動向

  • 医師の診療体制

  • 競合薬局

  • 面対応の状況

などを確認します。

特に、特定医療機関への依存度が高い場合、薬局側だけの努力で売上を大きく増やす計画には慎重さが必要です。

面対応の拡大

複数の医療機関から処方箋を受け付ける体制を強化する計画であれば、単に目標枚数を書くのではなく、

  • 立地

  • 患者動線

  • 営業時間

  • 医薬品在庫

  • 人員

  • 競合

など、実際に処方箋を増やせる条件があるかを確認します。

在宅業務の拡大

在宅患者を増やすことで、訪問関連収入や調剤収入を伸ばす計画もあります。

ただし、在宅業務では、

  • 薬剤師の訪問時間

  • 移動

  • 記録

  • 医療・介護関係者との連携

  • 時間外対応

などが必要です。

在宅患者の増加だけではなく、そのために必要な追加人員・費用まで含めて計画を見る必要があります。

加算の取得

調剤報酬上の加算を新たに取得する計画では、

  • どの加算を想定しているのか

  • いつから算定するのか

  • 取得・維持に追加コストがあるか

  • 算定前提が確認されているか

を確認します。

加算の点数をそのまま利益増加として扱わないことが重要です。

新規店舗・M&A

新規出店やM&A後の売上増を計画する場合は、既存店舗の改善とは分けて考えます。

売上だけでなく、

  • 借入

  • 初期投資

  • 人員

  • PMI

  • 一時費用

  • 追加運転資金

が発生するためです。


売上改善策は施策と結果をつなげて読む

改善計画には、売上増加という結果だけでなく、それを実現する行動が必要です。

例えば、

在宅患者を増やす

という計画だけでは、実行可能性は分かりません。

その前提として、

  • 誰が連携先を開拓するのか

  • どの地域で患者を受けるのか

  • 誰が訪問するのか

  • 店舗に残る薬剤師は確保できるか

  • いつから患者数が増えるのか

といった行動があります。

金融機関がすべての営業活動を詳細に管理する必要はありません。

ただし、

その売上増加は、具体的な行動の結果として説明できるか

を見ることが重要です。

計画数値とアクションプランが切り離されている場合は、売上計画の確度を慎重に見る必要があります。


5.人件費は比率ではなく人員体制と計画の整合性で見る

調剤薬局の経営改善計画では、人件費削減が改善策になりやすい一方、安易な削減は事業運営そのものを難しくする可能性があります。

固定的な人件費比率で評価しない

公的統計や他社平均と比べて、人件費が高い・低いと確認することはできます。

しかし、個別薬局の適正人員は、

  • 処方箋枚数

  • 営業時間

  • 処方内容

  • 在宅

  • 店舗数

  • 管理業務

  • 加算等

によって異なります。

したがって、一定の人件費率を超えていることだけを理由に、過剰人員と判断することは適切ではありません。

派遣費削減の計画

経営改善計画では、

派遣薬剤師を常勤薬剤師へ切り替えて年間数百万円削減する

という施策が示されることがあります。

この場合に確認したいのは、削減額の計算だけではありません。

  • 採用できる地域か

  • 採用開始はいつか

  • 採用費はいくらか

  • 採用成立まで派遣を続けるのか

  • 早期離職時の対応はどうするのか

といった前提があります。

常勤採用が成立しなければ、派遣費削減は実現しません。

人員削減の計画

退職者を補充しないことで人件費を削減する計画では、

  • 営業時間

  • 休暇

  • 欠勤

  • 外来対応

  • 在宅

  • 管理業務

を維持できるかを確認します。

人員削減によって売上や加算が下がれば、人件費削減額だけを利益改善として扱えません。

採用・定着の改善

調剤薬局では、採用費や派遣費を減らすために、採用経路や定着施策を見直すこともあります。

この場合も、

紹介料を減らす

という結果だけでなく、

  • 採用チャネル

  • 採用担当体制

  • 応募数

  • 入社率

  • 退職理由

  • 定着

といった根本要因を見る必要があります。

人件費改善とは、人を減らすことではなく、必要な人員で安定して事業を運営できる状態を作ることまで含めて考える必要があります。


6.店舗別採算を確認すると全社PLだけでは見えない問題が見える

複数店舗を運営する調剤薬局では、店舗別採算の有無が経営改善計画の精度を大きく左右します。

全社黒字でも赤字店舗がある

例えば、架空の5店舗チェーンで次のような状態だったとします。

店舗

店舗損益のイメージ

A店

+1,200万円

B店

+800万円

C店

+500万円

D店

▲600万円

E店

▲900万円

5店舗合計では1,000万円の黒字です。

全社PLだけを見れば、事業は黒字と判断できます。

しかし実際には、D店・E店で年間1,500万円の赤字が発生し、A店~C店の利益がその補填に使われています。

D店・E店の赤字が改善できれば、返済力は大きく変わる可能性があります。

反対に、A店が門前医療機関の影響で売上を落とせば、全社収益は急速に悪化する可能性があります。

店舗別採算で確認したいこと

金融機関としては、詳細な店舗原価計算まで行う必要はありません。

ただし、

  • どの店舗が利益を生んでいるか

  • どの店舗が赤字か

  • 赤字は一時的か

  • 改善計画があるか

  • 本部費を負担できているか

程度は確認したいところです。

赤字店舗を閉めればよいとは限らない

赤字店舗でも、

  • 他店舗への患者送客

  • 地域連携

  • 採用拠点

  • 重要な医療機関との関係

  • 将来の収益改善余地

などの戦略的な役割を持つ場合があります。

また、閉店には、

  • 原状回復

  • 解約違約金

  • リース

  • 従業員配置

  • 患者対応

などの一時費用が発生することがあります。

そのため、赤字という理由だけで即時撤退と判断するのではなく、改善余地と撤退コストを含めて考える必要があります。


本部費は必要経費と成長先行費用を分けて見る

多店舗展開する企業では、店舗PLが黒字でも、本部費を含めると全社利益が薄くなることがあります。

本部には、

  • 経営管理

  • 人事

  • 採用

  • 経理

  • 教育

  • システム

  • 営業・在宅支援

などの機能があります。

これらは事業運営に必要です。

一方で、将来20店舗を目指して整備した本部体制を、現在5店舗で負担しているようなケースでは、店舗規模に対して本部固定費が先行している可能性があります。

この場合、

  • 店舗数を増やすことで吸収する計画なのか

  • 本部費を縮小するのか

  • 業務効率化するのか

によって改善策が変わります。

本部費についても、金額の大小だけでなく、

何の機能に使われ、今後どのように売上・収益へつながるのか

を確認します。


7.薬剤仕入と在庫はPLと資金繰りを分けて見る

調剤薬局の経営改善計画で、医薬品仕入や在庫は重要な論点です。

ただし、単純な仕入比率だけで評価すると、実態を誤ることがあります。

薬剤料と仕入を混同しない

調剤報酬の薬剤料は、薬局が受け取る収入側の項目です。

一方、医薬品の購入費は費用側です。

処方内容や高額薬の比率が変われば、売上に占める薬剤料の割合も変わります。

そのため、薬剤関連の比率が高いから直ちに仕入条件が悪いとは判断できません。

在庫削減には二つの効果がある

在庫を適正化することで、

  • 廃棄・滞留による損失の抑制

  • 運転資金の回収

が期待できます。

この二つは同じではありません。

在庫金額を一度減らして現金化する効果は、毎年発生する利益ではありません。

一方、不動在庫や廃棄を恒常的に減らすことができれば、継続的な収益改善につながります。

経営改善計画では、

一度だけの資金回収毎年続く損益改善を分けて見る必要があります。

在庫削減をやりすぎるリスク

必要在庫まで削減すると、

  • 患者対応

  • 欠品

  • 緊急調剤

  • 店舗間移動

などの運用負担が増える場合があります。

経営改善は、在庫を最小化することではなく、必要な医薬品供給体制を維持しながら過剰な資金滞留を抑えることです。


8.改善施策ごとに見かけの改善と確認したい前提がある

経営改善計画に記載される代表的な施策と、金融機関が確認したいポイントを整理すると次のようになります。

改善施策

計画上の効果

確認したいこと

派遣薬剤師の削減

人件費減

常勤採用が成立するか

採用費の削減

販管費減

採用数・定着率を維持できるか

人員削減

人件費減

店舗運営・在宅等を維持できるか

在宅拡大

売上増

追加人員・移動費を含めて採算が合うか

加算取得

技術料増

取得・維持前提が確認されているか

在庫削減

資金回収

一時効果と継続効果を分けているか

赤字店舗改善

利益増

改善の根拠と期限があるか

店舗閉鎖

固定費減

閉鎖費用・患者移管等を織り込んでいるか

M&A・新規出店

売上増

投資・借入・採用・立上がりを含めているか

本部費削減

販管費減

必要な管理機能を損なわないか

計画上の改善額だけを見るより、

その改善額が成立する条件は何か

を確認することが重要です。


9.一時的な利益改善と正常収益力を分ける

経営改善計画では、その年度だけ利益や資金繰りが良くなる施策と、翌年度以降も続く改善を分ける必要があります。

一時的な改善になりやすい例

  • 在庫処分・返品による資金回収

  • 不動産・車両等の資産売却

  • 保険解約

  • 単発の補助金

  • 一時的な役員報酬減額

  • 臨時損失が翌年なくなる

  • 税金・社会保険等の支払時期による一時差

これらは資金繰りを改善するうえで意味があります。

ただし、毎年同じ金額を返済原資として使えるわけではありません。

継続的な収益改善につながりやすい例

  • 派遣依存の恒常的な縮小

  • 採用・定着の改善

  • 赤字店舗の収益改善

  • 適切な人員配置

  • 安定した在宅・技術料収入

  • 廃棄・滞留在庫の継続的削減

  • 本部固定費の適正化

  • 不要な外注・システムの見直し

これらは、実行できれば翌年度以降の正常収益力を改善する可能性があります。

正常収益力を見る理由

例えば、1年目だけ資産売却で1,000万円のキャッシュが入ったとしても、2年目以降の本業キャッシュフローが500万円しかなければ、毎年1,000万円の元金返済を続けることは難しくなります。

返済再開額を見る際は、

一時的な資金確保を除いた後に、本業からどれだけ継続的なキャッシュを生み出せるか

を確認します。


10.アクションプランは誰が・いつ・何をするかが重要

経営改善計画では、数字だけでなく行動計画が重要です。

例えば、

派遣費を年間600万円削減する

という数値だけでは、実行可能性は分かりません。

その背景には、

  • 常勤薬剤師を何人採用するのか

  • いつ採用するのか

  • どの店舗へ配置するのか

  • 採用できなかった場合はどうするのか

という行動があります。

同様に、

在宅売上を年間1,000万円増やす

のであれば、

  • 誰が患者・連携先を開拓するのか

  • どの店舗で行うのか

  • 人員体制はどうするのか

  • いつ売上が立ち上がるのか

といった前提があります。

金融機関が詳細な業務管理をする必要はありません。

しかし、

  • 責任者が決まっている

  • 実行期限がある

  • 数字と行動がつながっている

  • 未達時の代替策がある

という状態かどうかは、計画の信頼性を見る材料になります。


11.経営改善計画で警戒したい8つのパターン

1.売上が根拠なく右肩上がり

過去に処方箋が減少しているにもかかわらず、翌年度から自然に回復する前提になっている場合です。

2.採用成功を前提に派遣費を全額削減

採用活動の実績や地域の採用難度を確認する必要があります。

3.人員削減と売上拡大を同時に計画

人員を減らしながら在宅・面対応等を増やす場合、業務量との整合性を確認します。

4.加算の増収だけを利益へ加えている

取得・維持に必要な追加費用が計画に入っているかを確認します。

5.赤字店舗が自然に黒字化

改善施策がなく、数年後に黒字へ変わっているだけの計画には注意が必要です。

6.一時的な改善を毎年の返済原資としている

資産売却や在庫削減による資金回収は、毎年繰り返せません。

7.PLは黒字だが資金繰り計画がない

運転資金、投資、税金、元金返済を反映すると資金不足になる可能性があります。

8.計画未達時の選択肢がない

計画が100%達成されることを前提に返済条件を組むと、少しの下振れで再び資金繰りが悪化します。


下振れシナリオでは何を確認するか

経営改善計画は、Baseケースだけでなく、主要な前提が崩れた場合も考えておくと返済余力が分かりやすくなります。

調剤薬局で想定したい下振れには、例えば次があります。

処方箋枚数が計画を下回る

門前医療機関の患者減少等によって、計画より処方箋が少ないケースです。

採用が半年遅れる

常勤採用による派遣費削減を予定していたが、採用成立が遅れるケースです。

離職が発生する

採用した薬剤師や管理薬剤師が退職し、採用費・派遣費が再発するケースです。

在宅の立上がりが遅れる

連携先開拓が進まず、患者数が予定より少ないケースです。

加算取得・維持が計画を下回る

加算等の収益前提が想定どおりにならないケースです。

医薬品在庫が増える

高額薬や取扱品目の増加で運転資金需要が増えるケースです。

赤字店舗の改善が遅れる

計画期間内に利益改善できず、他店舗のキャッシュを消費し続けるケースです。

重要なのは、どの下振れ率を使うかという一律の数値ではありません。

その企業の経営改善計画にとって、どの前提が最も重要で、そこが崩れたときに返済力がどう変わるか

を確認することです。


下振れに耐えられない計画は返済再開を急ぎすぎない

Baseケースでようやく予定返済額を払える計画は、少しの未達で再び資金不足になる可能性があります。

例えば、

  • 採用が数か月遅れる

  • 処方箋が数%下振れる

  • 修繕が発生する

だけで資金不足になるのであれば、計画上の余裕は小さいと言えます。

リスケからの返済再開では、

最大限返済できる金額

ではなく、

事業を継続しながら無理なく返済できる金額

を考える必要があります。

返済条件が厳しすぎて、

  • 採用を止める

  • 必要な設備更新を止める

  • 在庫を過度に削る

  • 従業員への負担を増やす

といった行動につながれば、長期的な返済力を弱める可能性があります。


12.返済力はPLからキャッシュフローへ橋渡しして見る

経営改善計画では、営業利益・経常利益の改善は重要です。

しかし、利益額と返済可能額は同じではありません。

概念的には次の流れで考えます。

改善後の継続的な収益

非資金費用・税金等を確認

在庫・未収入金・買掛金等の運転資金変動を確認

必要な設備投資・更新を確認

その他の資金支出を確認

借入返済前にどれだけキャッシュが残るかを確認

元金返済後も必要現預金を維持できるか確認

金融庁の事業性融資に関する基本的な考え方でも、事業の実態や将来性を理解した上で、将来キャッシュフローの見通しや不確実性を踏まえて返済可能性を評価する考え方が示されています。

金融庁「事業者と金融機関の信頼関係に基づく事業性融資に関する基本的な考え方」

経営改善計画でも、最終的には将来キャッシュフローと返済計画の整合性が重要です。


返済再開後に必要な現預金を残せるか

経営改善計画で返済再開額を検討するとき、返済後の手元資金も重要です。

企業には、

  • 給与

  • 医薬品仕入

  • 家賃

  • 税・社会保険

  • 設備修繕

  • 突発的な支出

があります。

返済額を大きくしすぎて、月末の資金繰りが毎月ぎりぎりになる状態では、少しの売上下振れや修繕で再び支援が必要になる可能性があります。

経営改善では、金融機関への返済だけでなく、

安定して事業を継続するための資金余力

を回復させることも重要です。


13.金融機関から経営者へ確認したい10の質問

経営改善計画を受け取った際は、細かな勘定科目から入るより、まず次の質問で計画の骨格を把握すると整理しやすくなります。

1.今回、返済条件の変更が必要になった最大の原因は何ですか

一時要因か構造要因かを確認します。

2.その原因は、現在も続いていますか

既に解消した問題なのか、これから改善する必要があるのかを確認します。

3.改善後の利益は、どの施策によって生まれますか

売上増、人員改善、店舗改善等と数値の関係を確認します。

4.売上が増える根拠は何ですか

処方箋、在宅、加算等の計画根拠を確認します。

5.その改善策を現在の人員で実行できますか

追加採用や人員削減が前提になっていないかを確認します。

6.改善効果のうち、一時的なものは何ですか

正常収益力と切り分けます。

7.赤字店舗はありますか

複数店舗の場合は、店舗別の状況を確認します。

8.計画が半年遅れた場合はどうなりますか

下振れ時の資金繰りを確認します。

9.返済再開後も必要な設備投資や採用を続けられますか

返済によって事業基盤が弱くならないかを確認します。

10.返済後にどの程度の現預金を維持する計画ですか

事業継続の安全余力を確認します。


経営改善計画を確認する際に揃えておきたい資料

すべての案件で同じ資料が必要とは限りませんが、経営改善計画の前提を確認するためには、次のような資料が役立ちます。

財務関係

  • 直近の決算書

  • 月次試算表

  • 資金繰り表

  • 借入金一覧・返済予定

  • 固定資産・リースの状況

店舗関係

  • 店舗別売上

  • 店舗別の採算状況

  • 処方箋枚数の推移

  • 在宅等の主要施策の実績

人員関係

  • 店舗別の人員数

  • 採用計画

  • 派遣利用状況

  • 退職・欠員の状況

運転資金関係

  • 医薬品在庫

  • 主な仕入・支払条件

  • 未収入金・買掛金の状況

金融機関側で細かな専門分析を行うというより、

計画の根拠となる数字を裏付ける資料が存在するか

を確認することが重要です。


14.リスケ後は計画を作って終わりにしない

経営改善計画は、金融機関への説明資料として完成した時点がスタートです。

実際の経営改善では、月次・四半期ごとに、

  • 売上

  • 営業利益

  • 現預金

  • 処方箋

  • 人員

  • 在庫

  • 主要施策

などを確認し、計画との差異を見ます。

差異が出たら原因を見る

計画未達になったとき、

翌月取り返す

だけでは改善になりません。

例えば売上未達でも、

  • 処方箋が少ない

  • 加算が遅れた

  • 在宅患者が増えなかった

  • 店舗閉鎖が遅れた

では対策が異なります。

改善施策自体を見直すこともある

計画策定時には合理的だった施策でも、状況が変われば修正が必要です。

特に、

  • 採用

  • 在宅

  • M&A

  • 不採算店舗

  • 報酬改定

などは、外部環境の影響を受けます。

計画を守ること自体を目的にせず、返済力を回復するために必要な修正を行うことが重要です。


人件費率・薬剤仕入率など一つの比率で経営を判定しない

調剤薬局の経営分析では、人件費率、薬剤仕入比率、家賃比率などが注目されることがあります。

比率を見ること自体には意味があります。前年差や店舗間差を確認すれば、異常値を発見するきっかけになるためです。

一方で、金融機関が経営改善計画を評価する際に、一定の比率を超えていることだけで良否を判断することには注意が必要です。

人件費率が高くても理由が異なる

例えば人件費が高い企業でも、

  • 在宅を積極的に行っている

  • 営業時間が長い

  • 管理部門を自社で持っている

  • 人材育成へ先行投資している

  • 派遣薬剤師への依存が大きい

  • 退職に伴う一時的な人員重複がある

では意味が異なります。

派遣依存によって人件費が高くなっている場合は、常勤採用・定着改善が進めば費用を下げられる可能性があります。

一方、必要最低限の人員で運営している店舗に対して、人件費率だけを理由に人員削減を行えば、営業時間や在宅対応等に影響し、売上低下や離職増加につながる可能性があります。

薬剤関連比率も処方内容で変わる

処方箋1枚当たりの調剤医療費は、患者年齢や処方薬の内容によって大きく異なります。

高額薬の取扱いが多い薬局では、売上高と薬剤関連費用がともに大きくなることがあります。

そのため、薬剤関連の金額が高いことだけで仕入条件が悪いと判断することはできません。

見るべきなのは、

  • 前年から急変していないか

  • 同じ店舗内で変化した理由は何か

  • 高額薬等の処方構成が変わっていないか

  • 在庫と買掛金が増えていないか

といった背景です。

比率は判定基準ではなく質問を作るために使う

金融機関にとって実用的なのは、

この比率だから問題

と結論付けることではなく、

なぜこの比率になっているのか

という質問を作ることです。

例えば、人件費が前年より大きく上昇していれば、

  • 人数が増えたのか

  • 給与単価が上がったのか

  • 派遣費が増えたのか

  • 採用費が増えたのか

を確認します。

比率は原因を探す入口として使い、最終的には事業実態とキャッシュフローへ戻して考えます。


処方箋枚数と単価だけで売上計画を作るときの注意点

調剤薬局の売上計画では、処方箋枚数と処方箋1枚当たり収入を使って将来売上を説明することがあります。

これは計画の大枠を把握するうえでは分かりやすい方法ですが、金融機関が内容を確認するときはいくつか注意点があります。

処方箋単価の上昇が収益改善とは限らない

高額薬の処方が増えれば、処方箋1枚当たりの調剤医療費は上昇する可能性があります。

しかし、薬剤料と仕入負担も増えるため、単価上昇分がそのまま利益になるわけではありません。

したがって、

処方箋単価が上がるので売上・利益が改善する

という計画では、何によって単価が上がるのかを確認します。

処方箋枚数の増加はどこから生まれるか

処方箋枚数の増加には、

  • 門前医療機関の患者増

  • 面対応

  • 在宅

  • 新規医療機関

  • 他店舗からの移管

  • 営業時間変更

など複数の要因があります。

計画上の増加率だけを見るのではなく、どの経路から何枚増えるのかが説明されていると、計画の確度を判断しやすくなります。

月次で見ると立上がり時期が分かる

年間売上だけでは、1月から増えるのか、下期から増えるのかが分かりません。

例えば在宅業務を新たに始める場合、患者獲得や人員整備に時間がかかることがあります。

年間では同じ500万円の増収でも、期首から毎月発生する場合と、年度末に集中する場合では、当期の資金繰りへの効果が異なります。

金融支援が必要な企業では、年間計画だけでなく、いつ効果が発現するかも重要です。


資金繰り悪化を早めに把握するための兆候

損益が大きく悪化する前に、資金繰りに変化が現れることがあります。

調剤薬局の経営改善計画をモニタリングする際は、次のような兆候にも注意します。

現預金が計画より速いペースで減っている

営業利益が計画どおりでも、現預金が減っている場合は、

  • 在庫増加

  • 設備投資

  • 税金

  • 買掛金支払

  • 採用費

など、PL以外の資金要因を確認します。

医薬品在庫が増えている

売上増加に伴う正常な増加なのか、不動在庫や過剰発注なのかで意味が異なります。

在庫増加が続く場合は、売上計画だけでなく運転資金計画の見直しが必要になる場合があります。

派遣費が計画どおり下がらない

常勤採用を前提に経営改善計画を作っている企業で、派遣費が数か月経っても変わらない場合は、採用計画そのものが遅れている可能性があります。

人件費の未達ではなく、アクションプラン未達として見る方が原因を把握しやすくなります。

支払条件が悪化している

仕入先への支払が遅れる、支払条件の変更を求められるなどの変化がある場合、金融機関への返済以前に日常の資金繰りが厳しくなっている可能性があります。

税・社会保険等の支払が重くなっている

利益改善後に税負担が増える場合があります。

経営改善計画の初年度は赤字でも、黒字転換後には税・社会保険等を含めた資金支出を考慮する必要があります。


改善計画の策定時とモニタリング時では見るポイントが異なる

計画策定時には、将来の仮定を置かなければなりません。

一方、計画開始後は実績が出るため、仮定ではなく実績との差異を確認できます。

計画策定時

主に、

  • 窮境原因

  • 改善施策

  • 実行可能性

  • 将来売上

  • 人員計画

  • 資金繰り

  • 返済条件

を検討します。

モニタリング時

主に、

  • 実績が計画に対してどうだったか

  • 未達の原因は何か

  • アクションプランは実行されたか

  • 今後の見通しを修正すべきか

  • 資金繰りに問題がないか

を確認します。

重要なのは、売上が未達だったこと自体より、

なぜ未達になったのか

です。

例えば、在宅売上未達でも、

  • 営業活動を実施したが患者獲得が遅れた

  • 採用できず患者を受けられなかった

  • そもそも営業活動を実施していない

では、今後の改善可能性が異なります。


金融支援後の返済計画では出口を意識する

リスケによって当面の元金返済を軽減しても、恒久的に返済を止めることが目的ではありません。

経営改善計画では、

  • いつ収益力が回復するか

  • いつから返済を増やせるか

  • 最終的にどのような返済状態を目指すか

という出口を意識する必要があります。

返済額を急に戻さない

改善計画1年目に黒字化したからといって、直ちに従前の元金返済額へ戻せるとは限りません。

黒字化後には、

  • 税金

  • 設備更新

  • 人材採用

  • 運転資金

等が必要です。

返済条件は、将来キャッシュフローと事業継続に必要な資金を踏まえて検討します。

金融機関が複数ある場合

複数金融機関から借入がある企業では、一行だけの判断で全体の返済条件を決められない場合があります。

各金融機関の借入残高、担保・保証、取引状況等を踏まえて、支援方針を調整する必要があります。

こうした案件では、事業者が各行へ異なる説明をする状態を避け、共通の事業計画と資金繰りを基礎にコミュニケーションすることが重要です。


15.ケース別に見る経営改善計画の読み方

ここでは、実在企業ではない簡略化した架空例で、金融機関がどこを見るかを整理します。

詳細な計算方法を示すものではなく、案件ごとに着眼点が異なることを確認するための例です。

ケースA|黒字だが返済負担が重い5店舗チェーン

5店舗すべてが概ね黒字で、本業から一定の利益を生み出しています。

しかし、過去のM&Aで借入が増え、年間元金返済額が本業のキャッシュフローを上回っているケースです。

この場合、

  • 無理な人件費削減

  • 店舗閉鎖

  • 売上の急成長

を計画するより、本業収益を維持しながら返済条件を正常化できるかを見る方が重要です。

確認ポイントは、

  • 正常な事業キャッシュフロー

  • M&A後の投資効果

  • 追加投資の必要性

  • 返済再開後の現預金

です。

ケースB|2店舗が赤字の8店舗チェーン

全社では小幅黒字ですが、2店舗が数年連続で赤字です。

経営改善計画では、全8店舗の売上を毎年2%増やすことで全社利益を改善する計画になっています。

この場合、金融機関としては全社売上の増加より、

赤字2店舗をどうするのか

を確認したいところです。

  • 患者数回復の可能性

  • 人員

  • 賃料

  • 門前医療機関

  • 統廃合

などの具体策がなければ、全社の利益計画だけが良くても改善の確度は高まりません。

ケースC|薬剤師不足で派遣費が膨らんだ3店舗チェーン

常勤薬剤師の退職が続き、派遣費と紹介料が増えた結果、営業赤字になったケースです。

計画では常勤採用によって年間800万円の費用改善を見込んでいます。

この場合に重要なのは、

  • 採用できる根拠

  • 採用活動の進捗

  • 採用成立までの派遣費

  • 退職原因

  • 定着策

です。

採用が半年遅れた場合にも資金繰りを維持できるかを確認する必要があります。

ケースD|在宅拡大へ先行投資した薬局

在宅患者増加を見込み、薬剤師採用と車両整備を先に行いましたが、患者獲得が計画より遅れているケースです。

この場合、

  • 既存連携先

  • 患者獲得実績

  • 人員費

  • 在宅部門の採算

  • 追加投資の停止余地

などを確認します。

単に在宅は成長分野だから売上が伸びるとするのではなく、現在の実績から黒字化までの道筋を見る必要があります。

ケースE|全店舗で処方箋が減少している企業

特定店舗ではなく全店舗で処方箋枚数が減少し、費用削減だけでは返済力を回復しにくいケースです。

この場合は、

  • 面対応

  • 在宅

  • 店舗再編

  • 事業譲渡

  • M&A

など、収益構造そのものを変える選択肢が必要になることがあります。

リスケによって返済を先送りするだけでなく、中長期的に事業が持続可能かを確認する案件です。


一般的な薬局の経営改善策をそのまま計画へ入れない

調剤薬局の経営改善策として、

  • 在庫を減らす

  • 人件費を下げる

  • 在宅を増やす

  • 加算を取る

  • 不採算店舗を閉める

といった施策が挙げられることがあります。

いずれも有効な場合があります。

しかし、経営改善計画では施策名そのものより、

その企業の窮境原因に合っているか

が重要です。

例えば、人件費が高い企業でも、原因が不採算店舗の売上不足であれば、人員削減より店舗問題への対応が先かもしれません。

在庫が多い企業でも、在庫削減だけで毎年の赤字を解消できるわけではありません。

在宅を増やしても、人員費が増えれば返済力が改善しない場合があります。

他社で有効だった施策をそのまま当てはめるのではなく、

原因 → 施策 → 数値効果 → キャッシュフロー

がつながっているかを見る必要があります。


数字が細かいほど正しいとは限らない

経営改善計画には、詳細な5か年PLや月次計画が作成されることがあります。

数字が細かいことは管理上有用ですが、細かさそのものが計画の確度を保証するわけではありません。

例えば、

  • 3年後の処方箋枚数を1枚単位まで予測

  • 5年後の人件費を細かく計算

  • すべての費用を数%ずつ改善

していても、その根拠が弱ければ計画の信頼性は高まりません。

反対に、

  • 主要な窮境原因

  • 改善施策

  • 実行期限

  • 主要KPI

  • キャッシュフロー

  • 下振れ対応

が明確であれば、事業者と金融機関が継続的に対話しやすい計画になります。

計画を見る際は、

数字の細かさより、重要な前提が説明可能か

を重視します。


16.金融機関が専門家へ確認したい境界

調剤薬局の経営改善計画には、金融機関の通常の事業性評価だけでは判断しにくい論点があります。

例えば、

  • 加算の取得可能性

  • 調剤報酬上の制度解釈

  • 薬剤師配置と新施策の整合

  • 店舗別の正常収益力

  • M&A後の人員・収益維持

  • 405事業を使った計画策定

などです。

金融機関が制度や人員の詳細をすべて自ら検証するのではなく、

返済計画へ重要な影響を与える専門論点が残っているか

を把握し、必要に応じて専門的な確認を行う形が現実的です。

経営改善計画において専門家を利用する目的は、複雑な分析を増やすことではありません。

金融機関が返済力を判断するために必要な論点を、制度・人員・財務の間でつなぐことにあります。

モニタリングでは財務KPIと事業KPIをつなげる

経営改善計画の進捗確認では、売上高・営業利益・現預金といった財務数値だけでなく、その数字を生み出す事業KPIを見ると未達原因を早く把握しやすくなります。

売上高だけでは遅れて見えることがある

例えば、常勤採用によって派遣費を削減する計画の場合、PLに効果が出るのは採用後です。

しかし、それより前に、

  • 応募数

  • 面接数

  • 内定数

  • 入社予定日

などの進捗があります。

採用活動が進んでいない段階であれば、数か月後の派遣費削減も遅れる可能性があります。

在宅拡大でも同じです。

在宅売上が増える前に、

  • 連携先との接点

  • 新規患者受入れ

  • 訪問件数

  • 人員体制

などの変化があります。

KPIを増やしすぎない

一方、数十項目のKPIを金融機関と毎月共有しても、重要な変化が見えにくくなります。

経営改善計画の主要施策ごとに、

数値計画の達成を先行して示す指標

を1~2個程度選ぶと確認しやすくなります。

例えば次のような整理です。

改善施策

財務結果

先行して確認する例

処方箋回復

売上・粗利益

月間処方箋枚数

派遣削減

人件費

常勤採用の進捗

在宅拡大

売上・利益

訪問件数・患者受入れ

在庫改善

現預金

在庫金額・滞留状況

赤字店舗改善

店舗利益

売上・人員等の主要改善要因

本部費削減

販管費

実施済み施策

金融機関が業務運営に介入するためではなく、

計画未達を早く発見し、必要な対話を始めるため

にKPIを使います。


経営者が自分の言葉で計画を説明できるかも重要

経営改善計画が専門家によって丁寧に作成されていても、経営者が内容を十分に理解していなければ、実行段階で機能しにくくなります。

金融機関との面談では、

  • なぜ経営が悪化したと考えているか

  • 最優先の改善施策は何か

  • いつまでに何をするか

  • どこが最も不確実か

  • 計画未達時に何を変えるか

を経営者自身が説明できるかを見ることも、実行可能性を判断する材料になります。

計画の所有者は事業者

認定経営革新等支援機関や税理士等が計画策定を支援する場合でも、実際に事業を運営するのは経営者と従業員です。

外部専門家が作成した高度な資料があっても、事業者が、

この数字がなぜ改善するのか分からない

という状態では、計画を日常の経営へ落とし込みにくくなります。

説明できない数字は確認する

経営者が説明できない計画値がある場合は、

  • 誰が設定したのか

  • 何を根拠にしたのか

  • 実行責任者は誰か

を確認します。

経営改善計画は金融機関へ提出するための完成品ではなく、経営者が日々の判断に使えるものであることが望まれます。

その意味でも、専門的な分析を増やすことより、経営者が重要な前提を理解していることが実行段階では重要です。

計画確認の場で避けたいのは数字合わせだけの対話

経営改善計画の確認が、売上高はいくらか、営業利益はいくらか、返済額はいくらかという数値確認だけで終わると、計画未達時に原因を追いにくくなります。

重要なのは、数字の背景にある事業の変化を共有することです。

例えば営業利益が計画を500万円下回った場合でも、

  • 売上が未達だった

  • 採用が遅れて派遣費が残った

  • 在庫評価の影響があった

  • 一時費用が発生した

では、今後の見通しが異なります。

計画未達=直ちに計画失敗ではない

事業環境には不確実性があります。

重要なのは、未達が発生したときに、

  1. 原因を説明できる

  2. 今後への影響を確認できる

  3. 必要なら計画を修正できる

状態にあることです。

当初計画との一致率だけではなく、経営者が変化を把握し、対応できているかを確認します。

達成していても内容を見る

反対に、営業利益が計画どおりでも、

  • 必要な採用を先送りした

  • 設備更新を止めた

  • 仕入支払を後ろ倒しした

  • 一時的な収益があった

ことで数字が達成されている場合があります。

計画値を達成したかだけではなく、持続可能な方法で達成したかを見ることが返済力の評価につながります。

17.405事業とは何か

金融支援を伴う本格的な経営改善が必要な中小企業には、認定経営革新等支援機関による経営改善計画策定を支援する経営改善計画策定支援、いわゆる405事業があります。

中小企業庁によると、405事業では、国が認定した専門家の支援を受けて金融支援を伴う本格的な経営改善計画を策定する場合、一定の支援費用について中小企業活性化協議会の費用負担を受けられる仕組みがあります。

中小企業庁「経営改善計画策定支援」

2026年には、Vアップ事業・405事業の手引きやFAQ等が改定され、支援メニューの見直し、出口の明確化、伴走支援の強化などが行われています。

中小企業庁「早期経営改善計画策定支援(Vアップ事業)及び経営改善計画策定支援(405事業)の手引き・FAQ等の改定について」

405事業を使えば計画が認められるわけではない

制度を利用して認定支援機関が計画を作成しても、金融機関の金融支援が自動的に決まるわけではありません。

重要なのは、

  • 窮境原因が整理されている

  • 改善施策が具体的

  • 数値と行動がつながっている

  • 金融支援後の資金繰りが成立する

  • 計画策定後もモニタリングできる

ことです。

調剤薬局で405事業を検討するケース

例えば、

  • 複数行から借入があり返済条件の調整が必要

  • 赤字店舗を含む事業再編が必要

  • 資金繰りが厳しく、計画的な返済再開が必要

  • M&A・過去投資による借入負担が大きい

  • 金融機関へ提出する本格的な経営改善計画が必要

といった場合が考えられます。

個別企業が制度対象になるか、どの支援枠が適切かは案件ごとに確認が必要です。


405事業でも調剤薬局特有の実行可能性を見る

405事業で計画を作る場合も、一般的な財務計画だけでは調剤薬局の実行可能性を十分に説明できないことがあります。

例えば、

人件費改善

数字上人件費を減らせても、店舗運営に必要な薬剤師が不足すれば計画は実行できません。

在宅拡大

売上は増えても、人員・移動コストを含めると利益が残らない可能性があります。

不採算店舗改善

店舗単位の実態が分からなければ、どの店舗を改善すべきか判断しにくくなります。

在庫改善

一時的な資金回収なのか、継続的な損益改善なのかを分ける必要があります。

金融機関へ提出する計画では、

財務計画と現場の業務計画が同じ方向を向いているか

が重要です。


18.専門的な検証を検討したいケース

次のような案件では、通常の計画確認に加えて、調剤薬局特有の事業構造を踏まえた検証が必要になることがあります。

  • 複数店舗を運営しているが店舗別採算が分からない

  • 派遣・紹介料を大きく削減することが改善計画の中心になっている

  • 薬剤師の採用成功が計画達成の前提になっている

  • 在宅拡大や加算取得を主要な増収施策としている

  • 不採算店舗を残したまま全社黒字化を計画している

  • 医薬品在庫や買掛金の変化が資金繰りへ反映されていない

  • 一時的な改善と継続利益の区別が不明

  • 改善後PLは黒字だが返済再開額の根拠が不明

  • 計画未達時の対応策が示されていない

  • M&Aや事業承継後の改善を前提としている

  • 複数金融機関との返済条件調整が必要

  • 経営者自身が計画の数値根拠を説明できない

このような案件では、制度・人員・店舗採算・資金繰りを別々に見るのではなく、一つの計画として整合しているかを確認することが重要です。


19.MKマネジメントの支援範囲

MKマネジメントでは、金融機関・専門家からご相談いただいた調剤薬局案件について、経営改善計画が返済力の回復につながる内容になっているかを整理します。

主な検討領域は次のとおりです。

  • 返済困難となった原因の整理

  • 調剤薬局の収益構造を踏まえた改善施策の検証

  • 店舗別・全社の採算状況

  • 人員体制、採用、派遣・紹介費等の人的資本上の論点

  • 在宅・加算等を含む増収計画の前提

  • 在庫・運転資金に関する論点

  • 一時的な改善と正常収益力の整理

  • 下振れシナリオの確認

  • 資金繰り・返済計画との整合性

  • 金融機関へ説明する際の論点整理

  • 必要に応じた405事業による経営改善計画策定支援

  • 計画策定後の伴走支援

案件に応じて、顧問税理士、社会保険労務士、弁護士その他の関係専門家と確認・連携します。

MKマネジメントが融資可否や金融支援条件を決定・保証するものではありません。


FAQ|調剤薬局の経営改善計画でよくある質問

Q1.調剤薬局の経営改善計画は何年で作るのが一般的ですか

必要な計画期間は、窮境の深さ、金融支援の内容、債務超過の状況、改善施策の実行期間などによって異なります。

短期間に無理に利益を作るより、改善施策の実行時期と返済力の回復時期が整合していることが重要です。

405事業等を利用する場合は、制度上求められる計画要件や最新の手引きを確認します。

Q2.赤字の調剤薬局でもリスケを相談できますか

赤字であることだけで判断されるものではありません。

重要なのは、返済困難となった原因、事業継続可能性、改善余地、今後のキャッシュフロー等です。

赤字が一時的なのか、構造的なのかによっても支援の考え方は異なります。

Q3.経営改善計画で人件費を下げる必要がありますか

必ずしも人件費削減が必要とは限りません。

人員不足によって派遣費・残業・採用費が増えている企業では、安定した常勤配置の方が収益改善につながる場合もあります。

人件費の金額だけではなく、改善後の人員体制で事業計画を実行できるかを見ることが重要です。

Q4.人件費率は何%なら適正ですか

一律の適正値で判断することは難しいと考えます。

処方箋枚数、営業時間、在宅、店舗規模、本部機能、地域の採用環境等によって必要人員が変わるためです。

公的統計や業界平均は比較資料にはなりますが、個別企業の適正値を直接示すものではありません。

Q5.在宅業務を増やせば経営改善につながりますか

在宅業務は収益機会になり得ますが、追加人件費、移動費、ICT、時間外対応等が必要になる場合があります。

増収額だけでなく、追加費用とキャッシュフローを含めて判断する必要があります。

Q6.不採算店舗は閉鎖した方がよいですか

赤字であることだけで即時閉鎖と判断することはできません。

改善余地、戦略的役割、閉鎖費用、患者・従業員への影響等を確認します。

ただし、長期間赤字で改善可能性が低く、他店舗の返済力を継続的に弱めている場合は、再編を検討する重要な論点になります。

Q7.店舗別PLは必要ですか

複数店舗を運営し、店舗ごとに収益性が異なる場合は有用です。

全社PLだけでは、不採算店舗や利益貢献店舗が見えにくいためです。

ただし、店舗別採算の精度や共通費の扱いには注意が必要です。

Q8.PLが黒字になれば返済を元に戻せますか

PL黒字だけでは返済力を判断できません。

運転資金、税金、設備更新、その他の資金支出を反映した後に、どれだけキャッシュが残るかを確認する必要があります。

さらに、返済後も事業継続に必要な現預金を維持できることが重要です。

Q9.405事業は調剤薬局でも利用できますか

405事業は業種を調剤薬局に限定した制度ではなく、要件を満たす中小企業等が検討できます。

実際に利用できるか、通常枠・中小版GL枠等のどの支援が適するかについては、最新の制度要件と個別企業の状況を確認する必要があります。

Q10.405事業を使えば金融機関は計画に同意しますか

制度を利用して計画を作成したことだけで、金融機関の同意や金融支援が保証されるわけではありません。

計画内容、事業の実態、返済可能性、金融支援内容等を踏まえて各金融機関が判断します。

Q11.経営改善計画で最も重要な数字は何ですか

一つの数字だけを挙げることはできません。

営業利益だけではなく、事業から生み出すキャッシュフロー、運転資金、必要投資、借入返済後の現預金を合わせて見る必要があります。

Q12.どの段階で専門家への相談を検討すべきですか

窮境原因が整理できない、店舗別採算が分からない、人員計画と数値計画が合わない、複数金融機関との調整が必要、405事業を検討しているといった場合は、早い段階で専門的な検証を行う意義があります。


まとめ|経営改善計画は数字を合わせる資料ではない

調剤薬局の経営改善計画を見る際、最も重要なのはPLを黒字にすることではありません。

確認したいのは、

なぜ返済が難しくなったのか

その原因に対する改善策になっているか

改善策を実際の人員・事業構造で実行できるか

改善後の利益が継続するか

計画が下振れしても資金繰りを維持できるか

返済再開後も事業を継続できるか

という一連のつながりです。

調剤薬局では、処方箋、調剤報酬、人員配置、薬剤師採用、在庫、在宅、店舗別採算といった要素が相互に影響します。

そのため、人件費率や仕入率など一つの数字だけを見て判断するより、改善施策の実行可能性と、最終的に生み出されるキャッシュフローを見ることが重要です。

経営改善計画のゴールは黒字化ではありません。

無理なく返済を続けられる経営へ戻ることです。


金融機関・専門家の皆様へ

調剤薬局の経営改善計画について、

  • 改善後PLの前提が妥当か

  • 人員削減や採用計画に無理がないか

  • 在宅・加算による増収が現実的か

  • 一時的な改善を返済原資として見ていないか

  • 店舗別採算や在庫・運転資金まで確認すべき案件か

  • 計画が下振れしても返済可能か

  • 複数金融機関との調整が必要か

  • 405事業を活用した計画策定が適しているか

といった判断が必要な案件は、MKマネジメントへご相談ください。

医療・介護制度、人的資本、店舗損益、資金繰りを横断し、金融機関が返済力を評価するための論点を整理します。

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主な参考資料


免責事項

本記事は、2026年8月時点で公表されている資料に基づく一般的な情報提供を目的としています。個別企業の融資可否、金融支援条件、経営改善計画の成立可能性を確定するものではありません。

実際の判断では、対象企業の決算書、試算表、店舗別損益、資金繰り、借入返済予定、人員体制、在庫、制度上の届出等に基づく個別検証が必要です。


執筆者:MKマネジメント代表 小坂 真義(中小企業診断士・薬剤師)