薬剤師・看護師の人員計画をどう見るか―採用・離職・人件費から返済力を読む

2026/10/20 13:22

人的資本経営

|

医療介護全般

MKマネジメント|認定経営革新等支援機関(ID:109627000610)


人員計画は、医療介護事業の返済力を左右する重要な論点です。調剤薬局、病院、クリニック、訪問看護ステーションでは、薬剤師や看護師の採用・配置・賃上げが売上計画と直接つながることがあります。採用の遅れや早期離職が起これば、計画した収益が立ち上がらず、資金繰りにも影響します。

例えば、在宅業務を広げるために薬剤師を採用する、派遣薬剤師を常勤へ切り替える、病床稼働率を高めるために看護師を増員する、訪問看護師を採用して利用者数を増やす、といった計画です。PL上では増収や人件費削減を見込めても、必要な人材を予定どおり確保できなければ、その前提は崩れます。

金融機関では、全国の求人倍率や平均年収だけでなく、取引先が必要な職種・人数を必要な時期までに確保し、定着させられるかを確認します。さらに、採用・定着に必要な費用を負担した後も、返済力を維持できるかまで見ておく必要があります。

筆者は、調剤薬局チェーンで薬剤師採用、人事、経営企画に携わってきました。実務では、採用人数だけを見ても人員計画の実現可能性は判断しにくいと感じています。採用までの期間、入社後の定着、既存職員への負荷、派遣・残業の継続、売上が立ち上がるまでの時間差まで含めて見ることが重要です。

この記事の要点

  • 人員計画は「採用人数」だけでなく、返済力への影響まで見て評価する

  • 全国平均より、取引先自身の採用・離職・給与・採用費の実績を優先する

  • 採用遅延や早期離職を織り込んだ下振れシナリオを、月次CFまで接続する

人員計画と返済力の確認ポイント

結論|人員計画は全国相場ではなく、取引先の実績と下振れ時の返済力で見る

薬剤師・看護師の人員計画を評価するときは、まず「どの事業を実行するために、どの職種を何人必要とするのか」を確認します。そのうえで、現在の不足人数、過去の採用実績、給与・採用費・派遣費、採用遅延時の事業影響、最終的な資金繰りと借入返済へ順に接続します。

優先順位

確認する情報

1

取引先の現在人員、過去の採用・離職、実際の給与・採用費

2

対象地域・同種施設の人材市場、近隣求人

3

都道府県別・職種別の公的統計

4

全国平均・長期需給推計

人員計画の妥当性は、「薬剤師の求人倍率は何倍か」「看護職員の離職率は何%か」という一つの数字では決まりません。自社で何人採用できたか、採用まで何か月かかったか、何人が退職したか、欠員時に何が起きたかを確認する方が、計画の実行可能性を把握しやすくなります。

1.薬剤師・看護師の人員計画が返済力を左右する理由

採用できなければ増収施策を実行できない

調剤薬局が在宅業務を拡大する場合、訪問に出る薬剤師だけでなく、店舗に残る人員も必要です。病院が病床稼働率を高める計画でも、看護配置や夜勤体制を維持できなければ、予定どおり病床を運営できないことがあります。訪問看護ステーションでも、利用者を増やすには訪問担当者とオンコール体制が必要です。

売上計画を先に置くのではなく、その売上施策を実行できる人員を確保できるかを確認します。

人員削減がそのまま利益改善になるとは限らない

経営改善計画では、人件費削減が主要施策になることがあります。ただし、薬剤師・看護師を減らした結果、在宅・訪問の受入れが減る、残業・派遣・応援が増える、管理者へ業務が集中する、既存職員の追加離職につながるのであれば、計画した人件費削減額がそのまま利益改善になるとは限りません。

採用・離職はPLだけでなくCFにも影響する

採用費や紹介手数料は現金支出です。欠員期間には残業・派遣・応援費用が増える場合があり、新規採用者の入社後も教育・引継ぎ・勤務調整が必要になります。人員不足で新規事業の開始が遅れれば、売上の立ち上がりも後ろ倒しになります。

そのため、人員計画は給与費だけを見るのではなく、採用費・欠員補填費・売上立ち上がり・運転資金まで含めたキャッシュフロー計画として確認する必要があります。

2.人員計画は3層で確認する

人員計画を3層で確認する図

第1層|必要な人員

第1層では、どの職種を、常勤・非常勤のどちらで、何人、どの店舗・病棟・事業所へ、いつまでに配置するのかを整理します。人件費予算から人数を逆算するのではなく、事業計画と業務量から必要人数を説明できることが重要です。

第2層|採用・定着の実現可能性

第2層では、過去の募集人数、応募人数、面接人数、内定人数、入社人数、採用所要日数、入社後の定着、退職者数を確認します。過去に半年以上採用できなかった職種を、翌期計画では1か月で採用できる前提にするのであれば、その前提を裏付ける材料が必要です。

第3層|PL・CF・返済力への影響

第3層では、給与、賞与、法定福利費、採用費、派遣費、残業・応援費、教育費、売上開始時期、欠員時の減収、借入返済までつなげます。Baseケースに加えて、採用遅延・内定辞退・早期離職を含む下振れケースを置くと、返済力の余裕を把握しやすくなります。

3.公的な人材統計で分かること・分からないこと

公的統計で分かることと分からないこと

公的統計は、人材市場の方向感を把握するうえで重要です。一方で、全国値や都道府県値だけで個別企業の採用可能性を判断することはできません。個別案件では、取引先自身の採用実績と求人条件を優先します。

公的統計から分かること

公的統計だけでは分からないこと

全国・都道府県レベルの傾向

個別求人で実際に採用できるか

市場全体の方向感

その法人の定着力

職種別の参考水準

必要時期までに採用できるか

給与の比較材料

欠員時に売上・運営へ何が起きるか

求人倍率はハローワーク市場の指標

厚生労働省の一般職業紹介状況は、ハローワークにおける求人・求職・就職等の状況を示す業務統計です。民間の人材紹介会社、求人媒体、自社採用等を含む労働市場全体の倍率ではありません。職業区分によっては薬剤師単独・看護師単独の集計になっていない場合もあるため、数値を使う際は定義まで確認します。

e-Stat「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」

統計は「結論」ではなく「追加質問の入口」にする

例えば、「全国では薬剤師数が増えているのに、なぜこの病院では1年間採用できていないのか」と問いを進めれば、給与、勤務条件、採用経路、地域性などの論点が見えてきます。平均値との差そのものより、差が生じている理由を説明できるかが重要です。

4.薬剤師市場をどう見るか

厚生労働省「令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、2024年12月31日時点の届出薬剤師数は329,045人です。主な従事先は、薬局197,437人(60.0%)、医療施設63,290人(19.2%)、うち病院57,595人、診療所5,695人とされています。

厚生労働省「令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計」

薬局従事者は前回調査から6,702人、医療施設従事者は827人増加しています。ただし、全国の薬剤師数が増えていることと、対象施設で必要な薬剤師を採用できることは別問題です。

全国需給と地域・業態偏在を分ける

厚生労働省が2021年に示した薬剤師需給推計では、2020年を起点とする当面の期間は需要と供給がおおむね同程度で推移し、その後は供給が需要を上回る可能性が示されています。一方で、全国総数とは別に地域偏在・業態偏在があり、病院薬剤師の確保も課題として整理されています。

厚生労働省「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会 とりまとめ」
厚生労働省「薬剤師確保計画ガイドライン」

したがって、「将来は薬剤師が余る見通しだから、現在の採用計画も問題ない」とは判断できません。金融機関が見るべきなのは、計画期間中に、その地域・施設・勤務条件で必要な人材を確保できるかです。

5.看護師市場をどう見るか

厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例」によると、2024年末の就業看護師数は1,363,142人で、2022年から51,455人増加しています。

就業場所

実人員

構成割合

病院

895,944人

65.7%

診療所

194,665人

14.3%

訪問看護ステーション

91,022人

6.7%

介護保険施設等

107,984人

7.9%

厚生労働省「令和6年 衛生行政報告例(就業医療関係者)」

全国の就業者数が増えていても、病院、クリニック、訪問看護では勤務条件も人材市場も異なります。病院では夜勤・病棟機能・教育体制、クリニックでは診療時間・診療科・土曜勤務、訪問看護ではオンコール・訪問エリア・単独判断などが採用・定着に影響します。

2040年の需給検討と現在の採用可能性は分ける

厚生労働省は、2026年4月10日に第1回「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」を開催し、2040年を見据えた議論を開始しています。将来推計は方向感を把握する材料になりますが、現在の個別企業の採用可能性をそのまま示すものではありません。

厚生労働省「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」

6.離職率は「平均」より定義と自社実績を見る

日本看護協会の「2025年 病院看護実態調査」では、2024年度の離職率は、正規雇用看護職員11.0%、新卒採用者8.4%、既卒採用者16.1%でした。病床規模別では、正規雇用看護職員の離職率は99床以下13.1%、500床以上10.0%と差があります。

区分

離職率

正規雇用看護職員

11.0%

新卒採用者

8.4%

既卒採用者

16.1%

日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」

16.1%は、個々の中途採用者の「退職確率」を示す数字ではありません。個別施設では、採用経路、配属、退職時期、退職理由、勤務条件などを確認します。

薬剤師について:本稿執筆時点で筆者が確認した主要な公的資料の範囲では、調剤薬局全体の離職状況を個別企業の判定基準としてそのまま使える全国値は確認しにくいため、過去3年間の自社実績を同一定義で整理することを優先します。

7.給与と採用コストは「相場」ではなく実績へ接続する

給与データは比較材料

賃金構造基本統計調査では、薬剤師・看護師について、職種、就業形態、都道府県、企業規模、年齢・勤続年数等のデータが提供されています。令和7年調査の結果の概況は2026年3月24日に公表されています。

e-Stat「令和7年 賃金構造基本統計調査」

計画では、全国平均だけでなく、対象都道府県、就業形態、役職、実際の求人条件に近いデータを使います。既存職員の給与と新規求人の提示額が大きく乖離している場合は、採用可能性だけでなく、既存職員の処遇や定着への影響も確認します。

有料職業紹介の費用も契約書で確認する

厚生労働省の「医療等分野における雇用仲介事業に関する調査研究事業」報告書では、回答事業者ベースで、看護師・准看護師の手数料額中央値は64.5万円、手数料率中央値は20%でした。ただし、これは標準価格ではありません。実際の契約条件、想定年収、返戻金規定、過去の請求書を確認します。

厚生労働省「医療等分野における雇用仲介事業に関する調査研究事業」報告書

8.欠員期間のコストを見落とさない

紹介手数料や求人媒体費だけを採用コストと考えると、計画を過小評価することがあります。欠員期間には、残業、休日出勤、他拠点からの応援、派遣費、新規受入れ制限、既存職員の疲労などが生じる可能性があります。

直接採用費 + 派遣・残業・応援費 + 採用・教育の内部工数 + 必要に応じた売上への影響

全国共通の「薬剤師1人の離職コスト」「看護師1人の離職コスト」を置くのではなく、個別企業の実績から整理します。

9.人員削減・増員・M&Aは同じ見方をしない

人員削減計画

退職者を補充しない、正職員をパートへ切り替える、派遣を削減するといった計画では、削減後の業務体制を確認します。人件費が減っても、残業・応援・派遣が増えたり、売上施策が実行できなくなったりすれば、改善効果は小さくなります。

増員計画

増員では、必要性、採用可能性、立ち上がり費用を分けて見ます。採用後すぐに計画売上が生まれるとは限りません。研修・引継ぎ・患者受入れ・病床運営の開始時期を分け、入社月と売上開始月を同一に置かないことが重要です。

M&A・事業承継

医療介護のM&Aでは、過去売上が買収後も再現できるかを人員面から確認します。管理薬剤師、看護管理者、在宅・訪問・病棟機能を支える職員が継続するか、給与体系変更で離職が起きないか、買収後の追加採用費が返済計画へ織り込まれているかが論点になります。

10.人員計画で警戒したい8つのパターン

人員計画で警戒したい8つのパターン

  1. 採用所要期間がゼロ:期首から必要人員が在籍する前提になっている

  2. 採用費が未計上:増員・補充予定なのに紹介料・求人費等がない

  3. 全国平均給与だけで採用前提:地域・勤務条件・役割を反映していない

  4. 人員削減と事業拡大を同時実施:業務量との整合性が説明されていない

  5. 派遣費を即時ゼロ:常勤採用が成立するまでの期間を反映していない

  6. 退職者をすぐ補充できる前提:過去の採用期間と矛盾している

  7. キーマン退職の影響が未反映:管理者・特定職員への属人化を見ていない

  8. 下振れシナリオがない:採用遅延・内定辞退・早期離職が起きてもBaseケースのまま

1つでも該当すれば直ちに計画が不適切ということではありません。ただし、返済計画の重要前提になっている場合は、前提条件を再確認する余地があります。

11.下振れシナリオは月次CFまで落とす

人員計画では、「採用が6か月遅れる」「内定辞退が出る」「入社後に早期離職する」「既存職員が追加退職する」「賃上げ幅が想定を上回る」「新規施策の開始が遅れる」といったケースを確認します。

採用が遅れると、売上開始が後ろ倒しになる一方で、派遣・残業費が継続し、採用活動費が追加されることがあります。複数の下振れが同時に起きる可能性もあるため、年度末利益だけでなく、途中月に必要現預金を維持できるかまで確認します。

一つの現実的な下振れだけで返済が難しくなるのであれば、人員計画の余裕は小さいと考えます。

12.人員計画の確認に用いたい資料

資料

主な確認内容

職員一覧

職種、拠点、雇用形態、役割

組織図・職務分担

管理者、キーマン、代替者

給与台帳

基本給、手当、賞与、時間外

シフト・勤務実績

夜勤、オンコール、残業、応援

採用台帳

応募、面接、内定、入社、所要期間

退職台帳

退職時期、勤続期間、職種、拠点

求人票

現在の募集条件

紹介契約書・請求書

手数料率、返戻金条件、実支払額

派遣契約

単価、期間、配置

月次試算表

人件費、採用費、派遣費、残業等

事業計画・資金繰り表

採用と売上施策の接続、採用遅延時の現預金

借入返済予定表

返済後の人的投資余力

金融機関が人事実務をすべて監査するための資料ではありません。計画の重要前提に根拠があり、数値が実態と整合しているかを確認するために使います。人員資料には個人情報が含まれるため、外部共有は必要な範囲に限定し、個別の法的判断は必要に応じて弁護士・社会保険労務士等と連携します。

13.金融機関から経営者へ確認したい10の質問

金融機関から経営者へ確認したい10の質問

  1. 何の事業を実行するために、何職種を何人必要としますか

  2. 現在の在籍人数と実質的な不足人数は何人ですか

  3. 過去3年間、募集から入社まで平均何か月かかりましたか

  4. 過去3年間の採用数・退職数は何人ですか

  5. どの採用経路を使い、実際にいくら支払いましたか

  6. 現在の求人条件と既存職員の給与は整合していますか

  7. 採用できるまで誰が業務を補いますか

  8. 採用が6か月遅れた場合、売上・費用・現預金はどうなりますか

  9. 特定資格者・管理者へ業務が集中していませんか

  10. 返済後も採用・賃上げに必要な資金を維持できますか

14.融資後・計画開始後にモニタリングしたい指標

領域

確認例

人員

在籍者数、常勤換算、休職・退職

採用

応募、面接、内定、入社、採用所要日数

定着

入社後の継続状況

費用

給与、法定福利費、採用費、派遣費、残業

事業

患者数、病床稼働率、訪問件数、在宅件数

資金

現預金、運転資金

返済

返済前CF、返済後現預金

KPIを増やしすぎる必要はありません。返済計画の重要前提になっている職種・事業を中心に追います。採用未達でも、「応募がない」「面接辞退」「内定辞退」「提示条件不一致」「入社時期の遅れ」では対応が異なるため、原因を分けて確認します。

15.専門的な検証を検討したいケース

  • 人員削減が経営改善計画の中心になっている

  • 採用成功が増収・病床稼働・在宅拡大の前提になっている

  • 管理薬剤師・看護管理者等が一人に集中している

  • 派遣・紹介料が大きい

  • 採用費・欠員期間が計画に入っていない

  • 給与改定と資金繰りが接続していない

  • 施設基準・配置基準への影響が不明

  • M&A後の職員継続が返済計画の前提になっている

  • 採用遅延・早期離職等の下振れケースがない

金融機関が個別の人事制度や採用市場をすべて分析する必要はありません。重要なのは、返済計画へ大きく影響する未確認事項が残っていないかを把握することです。

16.MKマネジメントの支援範囲

MKマネジメントでは、金融機関・税理士等の専門家からご相談いただいた医療介護案件について、人員計画が収益・資金繰り・返済力と整合しているかを整理します。

  • 現在人員と事業計画の整合性

  • 採用・離職実績と計画前提

  • 人件費、採用費、派遣費、残業等の整理

  • 欠員・採用遅延の下振れ

  • 新規事業・病床・訪問・在宅等への影響

  • キーマン・属人化

  • M&A後の人員継続性

  • 収益計画・資金繰り・返済力への接続

  • 金融機関へ説明するための論点整理

案件に応じて、社会保険労務士、弁護士、税理士その他の関係専門家と役割分担します。MKマネジメントが採用結果、職員の継続、融資結果を保証するものではありません。

FAQ|薬剤師・看護師の人員計画でよくある質問

Q1.薬剤師の平均離職率は何%ですか

調剤薬局全体の全国値を個別企業の判定基準として機械的に使うのではなく、取引先の過去3年間の実績を同じ定義で確認する方が実務的です。

Q2.看護職員の離職率11.0%を病院の基準にできますか

11.0%は日本看護協会の回答病院全体における正規雇用看護職員の集計値です。病床規模、設置主体、地域等で差があり、個別病院の良否を判定する絶対基準ではありません。

Q3.既卒採用者の離職率16.1%は「採用者の16%が辞める」という意味ですか

全国の回答病院を集計した値であり、個人の退職確率ではありません。個別施設の中途採用・退職実績を確認します。

Q4.求人倍率が高ければ採用困難と判断できますか

参考にはなりますが、それだけでは判断できません。ハローワーク市場の統計と、民間紹介・求人媒体・自社採用を含む実際の採用市場は分けて考えます。

Q5.紹介手数料は年収の20%が標準ですか

厚生労働省の調査では、看護師・准看護師の手数料率中央値20%という結果がありますが、標準価格ではありません。実際の契約書、想定年収の定義、返戻規定を確認します。

Q6.人員削減は返済力を高めますか

費用削減にはなりますが、売上、運営、残業、派遣、追加離職への影響まで確認する必要があります。給与が減った額をそのまま返済原資に置けない場合もあります。

Q7.採用には何か月見込むべきですか

全国共通の期間は置けません。取引先の過去実績、現在の応募状況、職種、地域、勤務条件を優先します。

Q8.採用できなければ計画はすぐ失敗ですか

代替策、現在人員の余力、事業開始の延期、派遣利用、資金余力等によります。下振れ時の選択肢が事前に整理されているかを確認します。

まとめ|人員計画は、相場ではなく実績と返済力まで見る

薬剤師・看護師の公的統計は、医療介護の人材市場を理解する重要な資料です。一方、全国の就業者数や平均給与、離職率だけでは、個別企業が必要な時期に必要な人員を確保できるかは分かりません。

金融機関が人員計画を確認するときは、必要な職種・人数 → 取引先の採用・離職実績 → 対象地域・勤務条件 → 給与・採用費・派遣・残業 → 採用遅延・早期離職時の売上とCF → 返済後も人的投資を続けられるかという流れで見ると整理しやすくなります。

人員計画のゴールは、予定人数を表に置くことではありません。必要な人材を確保・定着させながら、事業と返済を継続できる状態をつくることです。

金融機関・専門家の皆様へ

医療介護事業者について、採用計画が対象地域で実現できるか、人員削減後も事業を継続できるか、採用費・派遣費・残業を含めても採算が合うか、採用遅延・早期離職時にも返済可能か、といった検証が必要な案件はMKマネジメントへご相談ください。

人的資本、医療介護制度、損益、資金繰りを横断し、金融機関が返済力を評価するための論点を整理します。

案件相談・連携相談はこちら

関連コラム

主な参考資料

免責事項

本記事は、2026年10月時点で公表されている資料に基づく一般的な情報提供を目的としています。個別企業の採用可能性、適正人員、離職可能性、施設基準への適合性、融資可否、返済可能額を確定するものではありません。

公的統計には、対象職種、施設、雇用形態、調査時点、集計方法等の範囲があります。実際の判断では、対象企業の職員一覧、給与台帳、採用・退職履歴、求人条件、紹介契約書、請求書、シフト、事業計画、資金繰り、借入返済予定等に基づく個別検証が必要です。

執筆者:MKマネジメント代表 小坂 真義(中小企業診断士・薬剤師/認定経営革新等支援機関)